イタリア言の葉

2年半ぶりに再開しました。イタリア生活22年のフリー通訳・翻訳者が北東の町パドバより発信する「社会派」ブログ

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アレックスシュバーツァー、ドーピング記事訳

更新が途絶えてしまい、申し訳ありませんでした。この記事はロンドンオリンピック時のものですが、ドーピング違反でオリンピック出場資格を剥奪され、記者会見に臨んだ北京オリンピック50km競歩の金メダリスト、アレックス・シュバーツァーについて書かれた記事です。

ドーピングが非難されるべきなのはもちろんですが、泣きじゃくりながら記者会見に臨み、すべてが自分の非だと(そんなはずはないのに)一人で責任をかぶる姿は、悲痛で心を打たれました。

この件がニュースから消えて久しいですが、健全なはずのスポーツの裏面、人口30人足らずの田舎で育った素朴な好青年をドーピングに走らせた絶望が悲痛に感じられ、今一体どうしているのだろうかと、時々思いを馳せます。(つい最近、アレックスがインスブルック大学に入学したことを知りました。)

(記事訳) 

アレックス シュバーツァーは金メダルに値する 真のチャンピオンだけが、自らの過ちを受け止めるのだから。
  
さらし台に送るものは、何の価値も有さない。
  
  
アレックスは薬事違反をした、しかしチャンピオンであることに変わりはない。この真実を求める、長い、長すぎる競歩において、たぶんだれよりも偉大な。

北京オリンピックで勝ち取ったその首に下がる金メダルは、自殺者の首に下がる石のように重いのだ。アレックス・シュバーツァーに向かって容赦なく襲い掛かる批判が、投石殺の石のように重たい。 

ジャーナリストの一軍を前にした、彼の公開処刑は、個人の問題としてではなく、現代の悲劇のように感じられた。私たちは個人が過ちを犯すのは、時には責任の重さに押しつぶされるせいで、今容赦ない非難を浴びせる人々にも降りかかるかもしれないことを、理解することすらできなくなってしまったようだ。

カトリック国のわが国が、個人の尊重や人間的な寛容、過ちを犯した人への配慮をなくしてしまったのかもしれない。

アレックスは過ちを犯した、だがそれを認める強さを示したのだ。暴かれるまで待ったとしても、それは重要ではない。 たぶん彼が全てを終わりにしたかったというとき、それは大げさではなく、この件は幇助無しの自殺行為だったのかもしれない。


イタリア語をドイツ人のように話すアレックス、子供のように泣きじゃくりながら謝り許しを請う彼。

「これはぼくが一人で決定したこと。 僕だけのことで、誰にも迷惑をかけたくなかった。インターネットで情報を探した。 インターネット上では全てを知ることができると保証できる。 トルコへ出向いて薬屋でEpoを手に入れた。」


 たとえ多くは彼の言葉を信じないとしても、アレックスは全てを説明する。 話しては泣き、涙と中断の合間に、過酷なスポーツの世界を描写する。ド・クーベルタ(近代オリンピックの父)どころではない。 回りの期待、自分への期待、重圧は好青年を変えてしまうほど重い。

スポーツは健康的なのだろうか? アレックスの言葉とチャンピオンの受難を聞く限り、そうばかりではなさそうだ。

今現在、全力を尽くす人々は素質が無かったのだと、緊張に打ち勝つ肝が据わっていなかったのだというだろう。 そうかもしれない。しかし自分の息子たちに、わが国のスポーツ界に、望むのはこのことなのだろうか? 犠牲と苦難に打ち勝つスパルタクスを望んでいるのか?

あなた方はどうか知らないが、私はそうは思わない。

「もうこれ以上無理だった。 僕の夢は自分がやりがいを感じられる仕事をすること、家に帰って恋人に会うこと、一ヶ月に一回限りではなく。両親にも、年に二回だけではなく会えることだった。 僕がこの競技のためにどれほどの犠牲を費やしたか、想像もできないと思う。その上でもし上手く行かなければ、大ばか者になるのだから。

僕はもう、一度限りの結果で批判されるのはたくさんだと感じている。 勝ったときに賞賛されるのが、一度も好きではなかったように。 こればかりが現実ではないのだから。」


アレックスの告白は、感動的で私を納得させる。「これ以前に薬物を使用したことは一度もなく、これから何をするかを知りながら部屋に一人でいるのは、非常につらく、嫌な経験だった。それからいつものように、普通にトレーニングを行った。 7月13日のドーピング検査の後、Epoを注射し始めた。」


そしてまた 「これが僕の人生でいちばん困難な一週間だった。それは薬を使うと強力になるというけれど、精神的に僕にとってはとてもつらくて、毎日自分の恋人に嘘をつかなければならなかったからだ。 毎日朝の3時、4時に目覚め6時以降にドーピング検査が訪れる可能性があると思ったから、そして僕の恋人にドアを開けるなと言わないとならなかったから。でないと陽性となってしまう。

これは僕にとって非常に難しいことだった。 それに、僕は医者ではなかったので過ちを犯したらしい。 病気になってしまって、20匐ナ發砲篭餽腓悪くて出場できなかった。競技に出場できる状態ではなく、非常に具合が悪かった。 7月29日に最後の注射をして、実家に戻った。母の誕生日だったから。

7月30日の朝ドアベルがなって、ドーピング検査だと知っていたけれど、母にドアを開けるなという力が無かった。そうできたのに。そうする力が無くて、全てを終わりにしたくてたまらなかった。 陽性だと知っていた。

更にひどい一週間を過ごし、二日前にニュースが届いた。 今ひどくつらい思いをしているのは、トレーニングに費やした長い年月を無駄にしてしまったから、でも一方では全てが終わってホッとしているのは、たぶん普通の生活に戻れるだろうと思うから。」


アレックスはまわりの全員を救う、自分以外の全員を。

「この選択は自分ひとりでなした、誰にも迷惑をかけたくなかったから。 僕はもうこれ以上無理だった。コーチには申し訳なかったと思っている。コーチに咎が降りかからないようにと願っている。いつか分かってくれるように、なぜこんなことをしてしまったのか理解してくれるようにと。

いずれにしても、これが起きていなくともオリンピックには行っていなかったはずだ。」


恥 「僕は心底恥ずかしいと思っていて、まっさきに恋人に告げた ロンドンから電話がかかってきた時に。 それから両親と、僕のマネージャーと、gazzetta dello sport紙の同僚に、知ってもらいたいと思って電話をした。」


フェラッリ医師について。 「僕はだれもかばったりしていない。ただ普通の生活に戻りたいだけだ。 これが僕にとって重要なこと。償いをして、この重圧から開放されなくてはならない。今までとは違った生活を夢見ている、普通であることは僕にとって問題ではないから。」


カロリーナ: 「彼女は好きだからスケートをしていて、僕は強いから競技をしているけれど、つらい思いをすることが以前のように好きではなくなった。吐き気がすることするある。僕とカロリーナの違いはこの点だ。

冷蔵庫の薬はビタミンB12ではなくEpoだと告げるのは容易いことではなかった。心のそこから恥ずかしいと思う。 彼女を守らなければ」 

カロリーナは氷の上だけではなく、真実のチャンピオンのようだ。「僕の恋人はほんとうに素晴らしい人、ここ数日一分たりとも僕を一人にしなかった、そして、僕がかわいそうだと、こんな目にあういわれはないのだと言ってくれた。」


アレックスは皆に謝る。「皆に、時々は過ちを犯す、普通の人間としてみてもらいたい。皆には謝るけれど、近い将来、自分の普通の職業で、僕の真の人柄を知ってもらいたい。」

これらの言葉はチャンピオンの頭と心から吐き出されたものなのだ。

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イタリアの豪華客船火災に思う

JUGEMテーマ:イタリア
先月座礁事故を起こし内外から非難を集めたイタリアのクルーズ運行会社Costa Crocere(コスタ・クロチェーラ)の運航船が、なんと27日セーシェル諸島沖でエンジンルームの火災事故を起こし、航行不能で漂流中です。このニュースを聞いたとき、何とも言えぬ複雑な気持ちになりました。

前回の座礁事故については、人身事故でその被害の大きさと、座礁時に船長の取った非常識な行動の数々がマスコミを通じて詳細に流され、大きな衝撃を与えました。前回はしかし会社が、というより船長への風当たりが非常に強かった印象です。しかし今回の火災では、明らかに運行会社に非難が集中すると想像できます。

豪華客船の事故が、一体どれだけ発生しているのか見当もつきませんが、一ヶ月足らずの期間で同じ運行会社の客船が2度も事故を起こす確率は、普通に考えると限りなくゼロに近いはずなのです。それが何故続けて事故を起こしているのか。何となく運命的なものすら感じてしまいます。

今回は幸いにして乗客の身体被害は出ていないのですが、楽しいはずのバカンスで大きな不便を強いられた乗客の不満と、この事態を引き起こした会社のイメージダウンは計り知れないものがあります。

既に前回の大事故で、マイナスイメージ、乗客への賠償金など痛手には事欠かないところに追い討ちをかけるように、この火災で航行不能になった巨大な客船が、フランスの漁船にえい航されている映像が世界を駆け巡っているのです。この先、料金を払ってこの会社の客船に乗ろうと思う乗客が、どれだけ残るでしょうか。

イタリアの景気はこれ以上ないほど冷え込んでいるのに、例外的に景気の良かった数少ない業種が、もはや立ち直れないだろうところまで痛手を蒙ったと言うのが私の正直な感想です。
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ラジオ番組でソムリエオンラインコース

JUGEMテーマ:ワイン
 普段夕食時に何気なく聞いているラジオ番組がラジオ2の「Decanter(デキャンタ)」、ワイン学とガストロノミーがテーマの、食事時に聞くにはピッタリな番組です。月金で夜8時から約1時間オンエアするこのラジオ番組が、23日(2月)からイタリア初のオンエア・ソムリエコースを企画しました。

ラジオ番組内の企画で、愛好家から全く知識のない初心者まで広い範囲向けとはいえ、イタリアソムリエ協会(AIS)の専門教師が講義します。

講義のテーマは3つ。l'arte della degustazione(テイスティングの技)、le vigne e le cantine d'Italia(イタリアのワイン産地と生産業者)、 il corretto abbinamento vino-cibo(ワインと食品の正しいマリアージュ)を各7回計21回で学ぶなかなか本格的な装いです。番組サイト上からオンラインテストに挑戦し、自分の知識を試すこともできるそうです。

視聴者やマスコミからの反響も予想を大幅に上回る大好評だそうで、Podcastをダウンロードして自分の好きなときに楽しみながら受講できる無料コースとして、私もぜひ参加してみたいと思います。
 
AISが企画する通学式のソムリエコースは、基本的に職業としてのソムリエ育成が趣旨のコースなので、半年コースが3課程、受講料も一期500ユーロ以上とかなりの出費を伴い、内容も高度で、趣味が高じて受講するにはかなりハードルが高い印象。

私の周囲でも愛好家でこの資格を持っているのは医師やエンジニアなど、経済的にゆとりがあってかつ教育程度も高い人が多い気がします。だからこそワイン愛好家の裾野を広げるのに、ラジオ番組で企画するソムリエコースは非常に優れていると感心しました。
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ブログ再開のご挨拶

 半年のお休みのつもりが何と2年半も休んでしまいました。このところ書きたい気持ちが湧いてきましたので、再開します。

頻繁には更新できないでしょうが、あまり不定期なのも再開の意味がないと思い、当座は週一回更新で続けて行きたいと思っています。

休止中の2年半に日本を大災害が見舞ってしまったように、この間イタリアの状況もはるかに悪化してきていますし、個人的にも日常雑記をつれづれ記す心境では、もうなくなってしまいました。

以前のブログは特にテーマを決めず興味を引かれたことを書いていましたが、今回再会するにあたってはっきりと「社会派ブログ」とテーマを一本化することに決めました。

「社会派ブログ」とは20年以上にわたる在伊の同志(既に社会派の自覚充分の語彙!)が以前のブログの感想として洩らした言葉なのですが、要は現在イタリアでおきている社会現象や報道されるような事柄についての私の考えを書くという形になるはずです。

ブログやインターネットという媒介があまり硬い内容を伝えるには適しないと認識していますので、深刻にならず興味を持って読んでいただけるようには心がけるつもりですが。

社会派ブログ再開にあたってかなりがんばってテーマに沿って選んだ写真は、義妹が写真コンクール用に撮った「LO “SHOPPING” DEGLI ESCLUSI- 歓迎されざる者の宴」です。ここまで重いテーマの記事を書くことはそうないとは思いますが・・・・

lo shopping degli esclusi

過去の記事はテーマに沿うものだけ選択して残しました。過去のトラックバック及びコメントは非表示にしてあります。
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罰金250から1500ユーロなり

毎年バカンスの前に取締りが決められるのですが、リミニなど有名なバカンス地では実際に警官がパトロールに回って、罰金が科されたなどのニュースを聞きますが、この辺では警官の姿を見かけたこともありません。

砂浜でこうやって売り歩くベンダーには250ユーロから1500ユーロの罰金、ということなのですが、この辺の人は安く買えて、寝そべっていても向こうから売りに来てくれるベンダーを重宝に利用しているので、なくなることはないでしょう。

なにしろ何も持たずにビーチに到着しても、必需品一式全てがベンダーで調達できますので。日曜ともなるといっそう往来も激しく、交渉によってはかなり値切ることができます。

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JUGEMテーマ:写真
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南へ向かう夜行列車

画像は借り物です

我が家が生活するパドバ市からカラブリアまでの距離は約1200km程です。パドバ市から逆方向(スイス方面)に向かって1200km移動すると、オランダのアムステルダムまで行き着くといえば、距離感がわかっていただけるでしょうか。

ヴェネツィアを拠点とするローコスト航空会社が倒産してしまってからは、カラブリアまでの移動は夜行列車に戻りました。この夜行列車は毎日往復1便運行され、ヴェネツィア駅からシチリア島のシラクサ・カターニアまで連絡しています。

この列車はひとつのコンパートメントに6人収容する簡易寝台B、4人収容の簡易寝台A、シングル、ダブル、トリプル・コンパートメントのワゴンリー社管理の寝台車両という編成です。金曜日と土曜日には、乗用車を積み込む貨車も連結されます。

公共の交通網がまったく整備されていない深南での生活は、乗用車がないと不可能で、「長距離を夜通し運転するのはいやだけれど、向こうでは車が必要」な場合、この乗用車積み込みシステムを利用できるわけです。

ただし乗用車はどこでも乗り降りできるわけではなく、積み込みと積み下ろしの駅が限られますが、、、

去年まで我が家はトリプルコンパートメントの寝台車を利用していました。空間は狭くとも、ドアを閉めれば外部の音がほとんど遮断でき、洗面台も付いて、全て布製のベッドメーキング、朝には(プラスチックカップですが)コーヒーと新聞のサービスもあります。

今年から次男も一人分の座席の予約が必要になったため、(4歳以上は安全上一人前の予約が義務)4人収容の簡易寝台Aをワンコンパートメント取ったのですが、外の音は筒抜けだし、寝るのは座席と同じ素材のベッドに不織布のようなペラペラのシーツと人形の枕のような小さなものがあるだけ。

トイレや洗面所も共用でひどく汚れており、空間が2倍ほどあっても、快適とは言いがたい旅になりました。ただひとつ良かった点は、定刻運行だったこと。最高6時間遅れの経験がありますので、定刻ならほかの事で文句は言えません。(イタリアで生活するには、多くを求めない方がストレスなくすみます。)

今の夫と知り合って以来のカラブリア通いなので、20年ほど前からこの夜行列車を利用していることになりますが、当時すでに年代ものだった寝台車両は今に至るまでほとんど新しい車両に交代されていません。簡易寝台は10年ほど前に新しい車両に変わりましたが、すでに故障している箇所が多く、痛みが多く汚れが目立ちます。

睡眠ガスを吹き付けて貴重品をそっくり盗まれた話なども聞く夜行列車ですが、我が家では幸い盗難や嫌な思いをしたことはありません。他人のいびきに悩まされて眠れなかった程度でしょうか。

独身のころクリスマスで先に帰省していた今の夫を訪ねて、この夜行列車で一人旅をしたこともあるんですよ。ローマ以南へ一度も足を踏み入れたことのないイタリア人の同僚たちから「勇気がある」と言われたものです。 (今回使用した画像は借り物で、家の子供たちではありません。)

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JUGEMテーマ:旅行
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エティカル・ゴールド

パドバ市に隣接するヴィツェンツァ(Vicenza)という市は、大小の金宝飾メーカーが集中しているところで、年3回行われるジュエリー見本市
Vicenza Oro)は、国外からも多くのバイヤーを集めています。

今年2回目の見本市が丁度今(5月16日から20日)開催中で、関連記事がイタリア経済新聞に特集されていたのですが、私の興味を引いたのは「エティカル・ゴールド(Oro etico)」の記事です。

エティカル(倫理的)ゴールドとは、採掘・精錬など全ての過程で、環境破壊や労働者の搾取、年少者労働などを避けて製品化した金だそうで、発想の元になったのは「エティカル・ダイヤモンド」だそう。

レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ブラッド・ダイヤモンド」などで、アフリカのダイヤモンド生産国の内情が広く知られるようになり、ブラックマーケット経由のダイヤモンドを知らずに購入するのは良心が咎めるという消費者向けに、コンフリクト・フリー証明付ダイヤモンドだけを扱う北米業者の運動がイタリアに上陸したのは4年前から。

金の場合ダイヤモンドのような政情とからんだ複雑なシステムにはなっていないようです。それでも私の指にもはまっているシンプルなマリッジリングを作る過程で、伝統的な方法だと5トンの水を要し、18トンもの廃棄物(汚染水など)がでるそうです。

ウンブリア州に本拠を置くGoldlakeという金採掘業者は、イタリアにおけるエティカル・ゴールドのパイオニアです。中央アメリカの貧しい国ホンジュラスにある2箇所の金採掘権を得て、現地法人を通じて自ら砂金や金塊の採掘作業を行っているのです。しかも独自に開発した技術で、採掘時に使用する水の再利用とシアン化合物など化学薬品を一切使わない比重選鉱を可能にしたそうです。

自ら採鉱する分のほかは、自社の現地法人と同等の条件で契約した現地の小規模採鉱者から買い取った金のみを扱っているそう。また精錬過程での労働者搾取を避ける目的で、イタリアの自社グループ内精錬所で作業を行っているそうです。

このように原料から出荷までを自社グループ内で直接扱うことで、倫理的に問題になるような工程が一切ないことを証明できるというわけです。

エティカル・ゴールドは従来の金に比べて価格が高めに設定されていますが、このようなクリーン証明を付加価値として認める、イギリスや北米の業者からも着実な評価を受け始めているそうです。

現在イタリアでこのエティカル・ゴールドを売り物として作られているのがBelloniブランドのマリッジリング。Belloniは「Il ben più prezioso è la dignità(人権は宝石よりも価値があります。)」のコピーと共に、イタリアで始めてエティカル・ダイヤモンドを売り出したブランドです。

今度はエティカル・ダイヤモンドの婚約指輪とエティカル・ゴールドのマリッジリングをセットで売り出そうと言うわけです。年齢を重ねて多少ひねくれた見方をするようになったので、これも独自性を追及したある種の宣伝には違いないと言う気もしてしまいます。

その私ですら「ブラッド・ダイヤモンド」を見た直後、手持ちのささやかなダイヤ付ジュエリーを身につけるのが後ろめたかったのも事実です。幸福のシンボルのようなこれらのリングですから、一点の後ろめたい思いも持たずに身につけられるクリーンなものをと願う女性は沢山いるかもしれませんね。


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市長へのEメール

日本に比べるとまだまだ遅れていますが、イタリアの各市もオンライン行政に取り組んでいます。市のサイトにはつき物の「市長へのメール欄」を使って、実際にどのくらいの市長(スタッフ)が市民のメールに目を通しているのかを実験した、なかなか興味深い記事を読みました。

掲載されていたのはいつものようにイタリア経済新聞、11日付の記事です。架空の住所氏名を使ってイタリアの10市長とロンドン・パリの両市長あてに、公園の犬専用スペースの不備(設けられていない市では不在)を訴える苦情メールを送り、何日で返事が来るかを実験したものです。

イタリアの10都市とはミラノ・ローマ・ナポリ・フィレンツェ・レッジョカラブリア・トリノ・サレルノ・ボルツァーノ・バリ・メッシーナでした。

このうち全く返事がなかった市がフィレンツェ・レッジョカラブリア・サレルノ・メッシーナ。市のサイトから市長へのメールを送るシステムがないのがローマとトリノとバリで、その代替となる市の窓口宛のメールに、ローマとトリノからの返事は帰ってこなかったそうです。

返答があった市はのうち、バリ市の市長秘書官からは「動物愛護課へのメール送付」を進める返答が、ミラノは5日後に市長スタッフから担当課へ転送したと言う返答が、その6日後に直接の担当機関の連絡先を告げるメールが送られてきたそうです。

なんとなくマイナスの先入観を持っていましたが、ナポリからはなんと同日中に市の職員が「市のサイトをご訪問頂きありがとうございました。」という書き出しで、「担当課へ転送した」旨の返答をよこしたそうです。続いてすぐ「市内唯一の公園内犬専用スペースが現在修復作業のため閉鎖中である。」と告げる丁寧なお詫びメールも送られてきたとか。

市長自ら返答したのがボルツァーノ。4日後に「スタッフにメールの内容を伝え、対処するように申し伝えました。」という市長からの返答メールが来たそうです。

さて他国の市長はと言えば、ロンドン市長は全く返答なし。パリでは公園課の職員から「犬専用スペースを設けているパリ市内の公園リスト」が返送されてきたと書いてありました。

大都市はそれだけ市長宛のメールが多いと予想されますので、市長自ら返答したのは住民数が少ないボルツァーノだけというのは納得できます。そして民間でもサイトから送ったメールに返答をくれるところは半分以下の感覚がありますので(サイト作りっぱなしで管理をしていない感じ)、10市中6市から返答なしなのは予想範疇でしょうか。

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明るい話題がない

久しぶりの更新でこんな話題ですみません。書こうかずいぶん迷ったんですが、現実には違いありませんので。

ニュースとはそういうものかもしれませんが、最近明るい話題が全くありません。目や耳から入ってくるのは、不況や失業の話題ばかり。ベルルスコーニ首相は「イタリアは不況に耐えて、さらに強力になる!」とポジティブ発言を続けています。

それにしても、「2010年までにEU域でさらに600万人が失業!」とか、「景気回復は2010年以降まで望めない」とか。挙句の果てには「イタリア国家は財政破綻!」の縁起でもない予想をする海外紙まであり、どう考えても先行き暗い感はぬぐえません。

ついにはベルル首相「マスコミのニュースを鵜呑みにしてはならない。新聞などはあまり読まないほうが良い。」とまで言ったそうです。

実感として「不況」に危機感を抱いている人は、まだそれほど多くない様に思います。それでも連日のニュースであおられるのか、アンケートなどに「今後出費を抑える。」または「貯蓄に励む。」と答える人が増えているそうです。

一般イタリア人が抑える出費の主なものは「外食と旅行」。この2業界は見通し暗いですね。

具体的な景気対策としてイタリア政府が打ち出しているのは、「住宅建設」と「公共事業発注」。所は変わっても、景気テコ入れ策と言うのは、あまり変わらないようです。

日本では個人消費を伸ばす目的で「定額給付金」の支給が始まっているようですね。イタリア経済新聞に「日本政府の施し金」という見出しで載っていました。普段日本の記事にこのような皮肉った見出しはついていませんので、今回はまた意地の悪い見方をしたものです。

「施し金」と言われてパッと私の頭に浮かぶのは、イタリア政府が去年の秋に試みた「ソーシャルカード」。

年金生活者や低所得家庭に2ヶ月に一回80ユーロ、一年間に480ユーロが振り込まれる一種のプリペイドカード。光熱費の支払いや食料品の購入に使えるはずでしたが、上手く機能しないことが多々あり普及しなかったようです。

「持っているのは貧乏人の証」と恥ずかしがる人が多かったのも不評の一因。一般のイタリア人には使えないソーシャルカードより、定額給付金のような現金支給のほうが好ましかったはずです。


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水道水を飲もう

昨日いつものように子供二人を学校と幼稚園に迎えに行きました。終業時の小学校前道路は、ものすごい混乱状態です。一方通行のその道には、両側にびっしり車が駐車されていて、走るスペースは1車線分しか残されていません。

なぜかこの道は小型トラックなど大きな車もつっかえそうに通り、そこに子供をピックアップした親たちのお迎え車が何とか車線に入り混もうとあふれ、その間を自転車が強引に縫って走ります。

学校前の道を出たところの交差点では、短い青信号を逃すまいと、右側優先など無視して突っ込んでくる対向車に気をつけながら、歩道の端をふらふら歩く、危なっかしい小さな子供も横目で監視しておかなければなりません。そんな修羅場に長男がなにやら学校からもらってきたパンフレットを読んでくれても、聞いている余裕などないではありませんか。

「ママはいつも僕の話聞いてないんだから。」と長男は口を尖らせました。うちに帰ってから問題のパンフレットをゆっくり読んでみると、3月22日の「世界水の日」を前に、「水道水を飲もう!」という市の啓蒙パンフレットでした。

そういえばこのところ長男が、妙に水道水にこだわっていたな、と思い当たりました。うちでは飲料水にミネラルウォーターを買いますが、長男は「水道の水のほうがおいしい。」とわざわざ水道水を飲むのです。

イタリアは世界でも有数のミネラルウォーター消費国だそうです。エコロジーの観点で判断すると、ミネラルウォーターはプラスチックごみを沢山出し、トラック輸送でCO2排出もあるので感心できない習慣だというわけです。

イタリアの水道水は飲料に適しているだけではなく、ミネラルウォーターより成分検査の頻度が高く、安全性にも優れているということです。その上経済的でもあるので、このパンフレットは「水道水を飲む習慣を取り戻そう!」と訴えているわけです。

パドバ市の保育園・幼稚園・小学校では(たぶん中学校も)、飲料水は水道の水に決まっています。子供たちが学校でせっかく水道水を飲む習慣を身につけても、うちへ帰ればミネラルウォーターでは意味がないと考えて、今回の啓蒙パンフレットになったのでしょう。

ではイタリア全国どこでもミネラルウォーターを飲むのか、というとそうでもないのです。私の夫の郷里では、あちこちにある湧き水を汲んで、それを飲料水にするのが一般的。ミネラルウォーターはあまり買いません。冬にスキーに行くと、山の町ではみんな水道水を飲んでいますし。

いつも感心するのですが、こうして幼稚園や小学校からしっかりとエコ教育をするのは、素晴らしいことだと思います。うちの長男も、学校で教わったように、自ら進んで水道水を飲むようになりました。次の世代の意識改革、なりよりも効果的ではないでしょうか。


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